骨盤矯正って必要なの?
「骨盤矯正って必要なの?」
「私の骨盤歪んでる・・・、矯正した方がいいのかも」
「骨盤なんて矯正する必要ないでしょ?」
「そもそも矯正って何?ボキボキするの?こわーい!」
年頃の女性をはじめ、健康や美に関心のある方まで
ひろく知られているキーワード「骨盤」。
いったいなぜそこまで多くの人が「骨盤」に興味があるのでしょうか?
そこで今回はこの「骨盤」という言葉とセットでよくみられる
「骨盤矯正」というものを、私なりの見解で論じていきたいと思います。
ちなみに私は
神楽坂にある、背骨リラックス専門サロンスタジオの代表をつとめさせていただいています。
運営しているのはリラクゼーションサロンとヨガ・ピラティススタジオですが
治療院の開業は2004年。国家資格は鍼灸按摩マッサージ指圧師、大学教育では健康科学部カイロプラクティック学科(一応、4年間で4200時間のカリキュラムを修了。カイロプラクティック理学士および応用理学士)を卒業しています。
そんな職業的背景から、
私も長く「骨盤」という亡霊?いえ、キーワードを追い求めてきた1人でもあります。
ズバリ、骨盤矯正は必要なのか?
あくまで私見ですが、
骨盤矯正の仕方・それがどういうものか、にもよりますが
「必要なケースは限りなく少ないが、あるにはある」
という見解です。
なんかあいまい~と思われた方は、ぜひ先をお読みいただければと思います。
そもそも骨盤って?
骨盤とは、背骨の延長にある仙骨と尾骨(小さい尻尾の名残のような部分)に、左右の寛骨(かんこつ)※という骨が合わさった部分のこと。
※寛骨は坐骨と腸骨、恥骨の3つが合わさってできています。
専門的には、股関節(こかんせつ)や腰椎(仙骨の上の、腰のぶぶんの背骨)を含めて、骨盤帯と言ったりすることもあります。
背骨は、私たち人間の屋台骨に相当するものですが
その土台になる部分がまさに骨盤と言えます。
土台に問題があれば、柱も安定しませんから
骨盤がいかに大切であるかは、なんとなくイメージできるのではないでしょうか。
例えば、
歩くことにしても股関節を介して骨盤に力は伝わります。
座っていても骨盤の坐骨部分が体を支えるので
地面や座椅子、床からの力がどうやって背骨に伝わっていくかは
骨盤次第というわけです。
う~ん、そう考えると骨盤ってやはり大切ですね!
どんな時に骨盤矯正するのか
いったい骨盤がどんな時に、「骨盤矯正」というものをするのでしょうか?
巷に溢れる「骨盤矯正」ですが
日本国民の骨盤はどうなってしまっているのでしょう。
骨盤を矯正しなければいけない理由とは??
いままでに骨盤矯正を希望されていた方や
骨盤矯正を受けたことがある方のお話にもとづき
いくつか考えられるものを挙げてみました。
・見た目の改善
身体の歪みを気にされているケースです。
何が基準になるかはともかく、気になってしまうとどうしても意識してしまうもの。
歩いているとスカートやパンツ(ズボン)がズレてくる、ウエストラインやおへその位置、脚の長さなどの左右差、などで自覚することも。
・座っている時の腰痛や坐骨の痛み
長く机に座って作業をしていると、ついつい悪い姿勢になりがちです。
そんな時、腰の痛みやだるさ、坐骨の痛みを感じる方も。
痛みを回避(逃避)するために足を組んだり、クッションや背もたれをいれたり工夫するものの、根本的な解決に至らないことも多いようです。
・産後の恥骨痛(妊娠中もありますが)などの不調
産後の腰痛や恥骨の痛みに悩んでいる方も多いと思います。
もちろん産後に限らず妊娠中に恥骨の痛みを感じる方も。
痛みを感じる部位は骨盤の左右にある寛骨(正確には恥骨の部分)が下腹部の下で結合する部分。
・ダイエット
見た目の問題でもありますが、産後や加齢にともなって
「痩せにくくなった」
「体形が戻らない」
とお悩みの方は多いはず。
代謝が悪いのは骨盤に問題があるから、と認識されている方が多いのはあらゆるメディアの影響でしょうか。
・便秘、尿漏れなどの不調
上記にもありますが
お通じなどの排泄を含め、代謝の低下や尿漏れといった不調を感じている方も骨盤矯正に興味をもっていることが多いようです。
・尻もちなどによる骨盤への衝撃による歪み
稀ではありますが、尻もちをつくことで打ち所が悪いと、その衝撃によって寛骨と仙骨の間にある関節に負荷がかかってしまうことも。
どうでしょう?
あなたに当てはまるものはありましたか?
骨盤矯正ってどういうことするの?
大辞林 第三版では「矯正」を以下のように解説しています。
きょうせい【矯正】
確かに、矯正という言葉でまっさきに浮かぶのは
「歯の矯正」
歯列矯正はご存知のように時間をかけてするものですよね。
時間をかけて、という意味では他に
脊柱側弯症という病気でも一部の方が装具を使って矯正します。
大人になってからもありますが
成長期に矯正することが多いように、
矯正は一日にしてならず、という印象です。
では骨盤矯正はどのようなものかというと
これが本当にまちまち。
以下、骨盤矯正の内容について
道具を身につけるもの、関節に直接アプローチするもの、筋肉にアプローチするもの、
3つのタイプに分けて解説していきます。
①道具を身につける
・骨盤(骨盤帯)を中心にゴムバンドを巻く
矯正という言葉に近いと思われるのがコチラ。
ゴムバンドなどを使用して骨盤周辺を固定しながら
運動療法や手技療法を組み合わせるものも。
医療機関で行っているものから民間療法(国家資格などを保有しない自由業)までアプローチや理論もさまざま。
私は経験ありませんが、
運動療法と組み合わせるということも含めて、成長期であれば特に有効であると思います。
また、安全に行われるのであれば大人であっても必要なケースもあるのではないでしょうか。
・矯正下着の着用
矯正下着を着用しながら生活することで骨盤矯正をするもの。
コルセットにも言えることですが、
要はそうした矯正下着をつけながら、天然のコルセットである筋肉がどのように変化していくかということが重要であり、その他の運動療法なども取り入れる必要があるかもしれません。
②関節に直接アプローチするもの
・関節をボキボキする
骨盤には、寛骨と仙骨の間に「仙腸関節(せんちょうかんせつ)」という部位があります。
この関節は昔から「動く・動かない」と専門家(医師や解剖学の教授、理学療法士、整体師、カイロプラクターなど)議論されているところ。
その論議はここでは避けますが、仙腸関節に対して早い刺激を与えることで(スラストといいます)関節の動きを調整する手技があります。
カイロプラクターや整体師、その他の方がよく骨盤に対してアプローチするものとして知られています。
あくまで私の経験ですが、産後でもごくわずかの方や、尻もちなどの怪我によって仙腸関節部分に「ロッキング現象」がみられることがあります。
そのようなケースではこの「スラスト」という手法が特に有効と考えます。
誤解されやすいのですが、このような手法は音をポキポキ鳴らすためではなく、関節周辺の感覚や動きを改善させることを目的としています。
覚えたての頃は、とにかくやりたいさかりがいるもので、私も学生時代餌食になっていました。
このような方法を「骨盤矯正」として謳っている整体院なども多く存在しています。
しかしながら、このようなアプローチは、必要なケースにこそ有効ではあるものの、定期的に行うものではないように私は認識しています。
・特殊なベッドや道具を利用した調整
10年以上前から多くみられるようになった、トムソンベッド(カイロプラクティックの高価なベッド)を利用したアプローチです。
こちらは、ドロップというものを利用してやはり瞬間的に調整する方法です。
上記の手法と同様の効果も期待できます。
が、やはりそんなに頻繁に繰り返し施術を受ける意味はわかりません。
・道具を使って神経にはたらきかける
カイロプラクティックではアクティベータという器具を使用して神経にはたらきかけ、筋肉や関節にアプローチして体のバランスを整えるものがあります。
③筋肉にアプローチするもの
・筋肉をマッサージする
骨盤矯正=整体といえば、筋肉の緩和を目的としたマッサージのようなものがイメージ的に近いのかもしれません。
マッサージやリラクゼーションを否定するつもりはありませんが、ただやみくもなアプローチであれば、それは骨盤矯正とはいえないでしょうし、その効果も?です。
・体を操作、誘導することで筋肉の緊張をゆるめる
骨盤矯正を目的としたものとは考えにくいですが、体をあるポジションに誘導したり、力を入れてもらってから緩めてもらうなどをして筋肉の緊張をゆるめていく方法があります。
受ける方に負担が少ないという意味でも安全な方法といえるでしょう。
他にも各種似たような方法がありますが、療法によって、そのテクニックの名称が違っていたりしますが骨格の調整も可能です。
上記のもの以外にも多くの療法、手法が存在しますが
一般的によく使われているアプローチが以上です。
まとめ
科学的な根拠(エビデンス)をもとにした「骨盤矯正」というものは、現時点ではほとんどないように思われます。
骨盤の検査や状態を含め、どのような時にどのような方法で行うといった定義も統一されていません。
メディアでの反響や、整骨院や治療院、整体院など広告宣伝の一部として「骨盤矯正」という文字も多くみられ、「骨盤矯正」を求めている人が多いことがうかがえます。
ところがその方法は種々様々で、何が骨盤矯正なのかわからないのが現状と言えるでしょう。
また、中には誇大広告的なものもみられるようにも思います。
施術にあたっている人の一部は、きっと不安をかかえているのではないかと
そんな老婆心さえ感じることもあります。
しかしながら、骨盤を中心にアプローチすることで、身体の不調が改善されることは多く、ゆえに「骨盤矯正伝説」なるものが確立されるのだと思います。
また、骨盤を矯正するのに時間がかかる?という印象から、
定期的に骨盤矯正という名の施術をする必要があるかというと、私はほとんどないと思っています。
骨盤には関節も存在ますが(もっというと、腰の背骨の部分や股関節なども影響します)、何より歪みに影響しやすいのは骨盤周囲の筋肉の状態です。
矯正なのかどうかはともかく、骨盤を改善し、よりよい状態に保つには、やはり能動的なケア、つまり運動が必要であると考えます。
そのようなことから思うのは、
なぜ骨盤が大事なのか?
なぜ骨盤が歪む(正しくは骨盤を含め体がアンバランスな状態になってしまう)のか?
ということを、もっと一般の方々、消費者の方々に、広く認知していただく努力が必要なのかもしれません。
こちらについては、またあらためて投稿させていただきますね。
・「骨盤矯正」が何かにもよるが、調整が必要な人もいる
・そもそも「骨盤矯正」の定義がない
・定期的な骨盤矯正の必要性は民間療法では考えにくい
・やみくもなアプローチ(ボキボキ、筋肉緩和操作など)の効果は期待できない
・骨盤から全身をとらえたアプローチは不調の改善に有効
・骨盤をよい状態に保つには運動が必要
・骨盤の正しい理解を広めていくことが大切
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